アルとエイルは都へ向かっていた。
都へは村から半日の位置。今日は天気もいいし、夕方には付くだろう。
しばらく歩いていると、1人の若い剣士がモンスター狩りをしていた。
その剣士を見てアルが一言。
「始めはあんな仕事しかないのかな。」
「まずは修行。強くなるまで我慢しようよ~」
なんか緊張感の無いエイルの口調だが、アルはたいして気にしていないようだ。物心が付いた時から聞いているので、ただ慣れただけか...
職業としての冒険者の仕事は、ミッション(任務)とクエスト(依頼)がある。
ミッションは主に国から依頼である。
クエストは依頼主は様々である。一般市民もいれば国からもある。クエストの内容は酒場等にあるクエストボードに貼り出されている。
そこから選択して受けることとなる。ミッションもクエストも目的を達成させることができれば、成功報酬を受け取ることができる。
この成功報酬が主な冒険者の収入源だ。
この剣士もミッションかクエストだろう。又は獲物の皮や骨などを採取して何かを作るための素材を集めてるのかもしれない。ただの腕を上げるための修行かもしれない。
冒険者の中には町にある貸し施設で物を作って商売している者もいる。またそう言った物へ素材を売ってお金にしている者もいる。
目的は何であれ、こういった冒険者がいるおかげで、街道の安全が保たれている。
この大陸には大地に魔法の力があり、その作用でまれに野生動物が大型化し凶暴化する。それがモンスターだ。
モンスター化した動物は見境無く攻撃してくるため、発見したら駆除する必要がある。
野生動物だけではなく、人間を含む人類までモンスター化してしまう場所もあると聞く。
「がんばってください~ヒーリング!」
すれ違いざまにエイルが剣士へ体力回復の魔法を放った。
「ありがとよ!」
ちょうど日が暮れる頃に都に着いた。
「エイル、早速王宮に行くぞ!」
「え~。まずは飯にしようよ。腹減ったよ~」
「もたもたしてると王宮がしまっちゃう。面倒なことは先に終わらせてしまおう!」
「ちょっと待ってよ~」
早歩きでどんどん進むアルをエイルが追いかけていた。
王宮に着き受付で用件を言うと、冒険者管理局の部屋に案内された。
「この紙に必要事項を書いてください。」
必要事項と言っても、名前と出身地しか書く欄が無かった。
「これだけですか?」
あるが不思議そうに質問すると
「それだけで十分です。冒険者は特に身分等は問いません。これからの経験や実績がすべてです。」
「なるほど~」
アルはいまいちわからなかったが、エイルは理解したようだ。口調からは想像できないが、魔法を扱う者だけあって頭はいい。
紙を提出するとその上にカードが置かれた。
「このカードの上に手を置いてください。」
アルが手を置くと事務員が魔法を唱え始める。
魔法を唱え終わるとカードが光った。
「このカードが冒険者の身分証明証になります。」
この身分証明書は一般に『カード』と呼ばれている。
エイルも同様の手続きを済ませていた。
「これでアルデア王国所属の冒険者として認められました。軽く冒険者の説明をします。」
アルもエイルも真剣に説明を聞き入れていた。どうも冒険者になった実感がわいてきたらしい。
「カードは常に携帯してください。携帯していない時は冒険者として認められません。カードにはミッションやクエストの達成状況等の情報が記憶されます。」
世の中、魔法のおかげで便利になったものだ。
「冒険者はランク付けされます。S,A~Gの10段階あり、ランク無しから始まります。初めてのクエストを達成するとクラスGに認定されます。クラスAまでは誰でも実績次第で昇級する事はできますが、各国に認められた冒険者に限りクラスSに認定されます。クエストはランクが指定されている場合があり、該当するランクでないものは受けることができません。昇級の審査は国の審査機関で行われますので、定期的に所属国の冒険者管理局に確認しに来てください。」
ランク付けされると一見上下関係が厳しそうであるが、冒険者の間ではそんなものは無い。ランクは経験の目安であり、知らない人同士で仲間(パーティ)を組むのに便利である。
「冒険者には無料で冒険者宿泊施設の部屋が与えられます。但し1部屋しか与えられませんので、本拠地を他の場所に移す時は引越しの手続きをしてください。部屋の物は転送魔法で送ります。
」
これで憧れの都会暮らし♪二人は嬉しそうである。
「以上です。他にも知りたいことがあれば酒場で情報を集めてください。他の冒険者がたくさんいるので、交流を深めてください。」
二人は王宮を出て、早速冒険者宿泊施設に向かった。
「今日は疲れたしもう寝るとするか。」
「僕もねむい~」
「持ってきた肉の塩漬けを半分渡しておくよ。今日はこれで我慢して。明日観光しながら美味いものでも食おう!」
「おっけ~じゃあ、あした朝に宿泊施設の入り口で待ってるよ。」
「おやすみ!」
「おやすみ~」
お互い狭いながらも新しい生活の本拠地となる部屋に入って行った。