私の名はゲイル・テイラー。

エターニア大陸南東部のハル共和国所属の冒険者である。

種族は人間。職業は剣士だが、初歩の回復と雷系の魔法は扱える。

冒険者になって10年。現在のクラスはE。やっと中堅と言われる冒険者になったところだ。

この国の北部にあるアメギド山の山頂付近で魔力が極端に強まり、凶暴なモンスターが頻繁に出没しているので調査するミッションに参加する事となった。

今回はこのミッションの記録を綴る。

 ミッション内容 
  
 目的  アメギド山の調査 
 参加条件  アライアンスリーダー クラスB以上 
 パーティリーダー クラスC以上 
 サポートメンバー クラスE以上 
 報酬  クラス、成果により査定。 
 旅費として一律G1000を支給 

このミッション達成時にはクラスDに昇級できる見込みだ。

クラスEの冒険者の役割はサポートなので、現地でどこかのパーティに入る事となる。

道中は特に危険は無いので1人で出発し途中で同じミッションに参加する冒険者に会うことができれば同行しよう。

今日はこのまま旅の準備をし、出発は明日にしよう。


 この村の周りは樹木のモンスターが多く、素材を集めに杖や槍などの武器職人が来るので村としては比較的に賑わっている。小さいながら宿屋や店は一通りそろっている。特に魔力を高める杖は特産品だ。

 アルとエイルはミーシャと合流した。ミーシャは一足先に着いて配達先の家を調べてくれている。早速配達先の人に荷物を渡すと、証明書を渡された。これを酒場に持ち帰ればクエスト完了だ。
「やっと終わったねー。ね、武器屋に行こうよ。」
「行こう~」
3人は村の武器屋へ向かった。

「まだかよ。おれは外を散歩してくるよ」
 アルはつまらなそうだ。この村は杖は揃っているが、戦士用の武器は護身用に使う基本的なものしかない。アルが持っている剣は父親から譲り受けたものなので、ここにあるものより性能が良い。

 アルが外でウロウロしているうちに2人が戻ってきた。
「おまたせー」
「おまたせ~」
「遅いよ!」
「いいの見つけたよ~」
 エイルとミーシャは同じ杖を買っていた。人用とフェアリー用は大きさは違うが、性能は変わらないらしい。
「この杖は初心者用だけどこの村にしか売ってないのよ。他で売ってる同じクラスの杖と高められる魔力は同じだけど、必要な精神力が少しだけ減るの。」
初めて着た村なのに買うものがないアルはちょっとだけ羨ましかった。
「さて、戻って報告するか。」
「戻ろう~」
「戻ろうー」

 帰りの道は至って順調だった。レアモンスター狩り&見学御一行に合流できたのだ。モンスターが出たとしても、熟練冒険者が瞬殺してくれる。
 食事の時は常にパーティ状態だ。冒険者の中には調理の腕を磨いてる者もいるので、練習中に大量に作った食事をみんなに配り、お金が無くても食事にありつけて助かった。特に杖を買ってすっからかんになったエイルには。

 帰り道はモンスターを狩りながら修行をすることはできなかったが、同じような経験の冒険者と冒険者登録番号を交換できた。この番号があれば、各地にある酒場やクエストカウンターを通してメッセージをやりとりできる。

 アルたち御一行は証明書を渡して報酬をもらった。
「初クエストおめでとう。クラスGに認定する。」
冒険者にはクラスがあり、難しいクエストには受けられるクラスに制限があるものがある。クラスはクエストをこなしていくうちにGFEDCBAと上がっていく。さらに各国に一部の冒険者に限りクラスSと認められる。

「2人はこれからどうするの?」
「俺たちはしばらく都に留まってで簡単なクエストを受けながら修行するよ。」
「え~僕聞いてないよ~。だけどそれでいいかな」
エイルはいつもながら脳天期だ。魔法を使えるから頭が良いのは確かなはずだが。
「ミーシャはこれからどうするんだ?」
「あたしは1回故郷に戻ってみんなに冒険話をしてくるよ。で、またここに来るよ。その時はメッセージを送るからまた一緒に冒険しよ。」
「待ってるぜ。」
「待ってるよ~」

 こうしてアルたちの初めての冒険は無事に終わった。この世界には冒険者がたくさんいる。彼らはそれぞれ自分の道を進み続ける。ある者は町の住民からの依頼のクエストを受けてみんなから感謝され、ある者は技術を磨いて有名な職人になり、ある者は強敵を倒して英雄になる。アルとエイルは今後どのようになるのか楽しみだ。


冒険3日目

 もう目的の村まですぐだ。
 村の近くは人も多いせいか、あまり危険はないので、ミーシャは先に村まで飛んでいった。
 自分たちが着く頃には配達先の場所を見つけてくれてるはずだ。

 目的のデルフト村は比較的小さな村だが、なんか今日は人が多い。
 この辺りは特に強いモンスターがいる訳でもないのに、見るからに高価な装備をした熟練の冒険者達が集まっている。
 アルは不思議に思い通りすがりの冒険者に話を聞いた。
 どうやら最近樹木族のレアモンスターが目撃されたらしい。そのモンスターは樹木が魔力の作用によってモンスター化したもので、その中でも特に厄介な相手らしい。
 このモンスターから得る事が出来る大量の魔力を貯めた木材からは、魔導士が使う杖を使うのに適している。
 厄介な相手だが、それに相応するものが手に入るために、我先にと冒険者達が創作しているらしい。

「これだけ冒険者がいるともう危険はないだろうな。」
「なんか気が抜ける~」
 エイルはいつも気が抜けてるだろ!と、アルは心の中で思った。

 熟練の冒険者とレアモンスターの戦いを見学することが目的の冒険者も多い。
 その冒険者達が暇つぶしに雑魚モンスターを狩っているので、この一帯は平和そのものだ。
 食材を持ち込んでバーベキューまでしているグループもいる。もうお祭り騒ぎだ。

「アル~、あそこに色んなものを売ってるよ。見ていこうよ~」
 冒険者の中には色々なスキルを持っている人がいる。そんな人たちが人の集まる場所でバザーを開いて、自分で作った装備品やアイテム、料理、戦利品等色々なものを販売してお金を稼いでいる。中には各地で安いものや特産品を仕入れて販売をしていて、行商人なのか冒険者なのかわからなくなってしまっている人たちまでいる。
「ミーシャが待っているはずだからそのまま行こう。そもそも金が無いだろ!」
「も~」

 しばらく歩いていると目的の村が見えてきた。
 村の入り口のゲートの上にミーシャが待ちくたびれたように座っていた。



初冒険2日目

3人は広い草原にある街道を歩いていた。
見渡しもよく、他の冒険者や見回りの兵士も多いので
モンスターが襲ってきても、不意打ちされる心配は無い。

フェアリーのミーシャがフワフワと飛んでいる。
歩くのと飛ぶのはどっちが疲れるんだろうと考えてしまう。

「2人はなんで冒険者になったの?」
「おれ達は村の掟と言うか、習慣に従って冒険者になっただけだ。」
「村には成人になったら3年間は冒険者をやることになってるんだよ~」
「へー。じゃあ3年で冒険者は辞めるの?」
「いや、その後は本人次第。続けたいやつは続けてもいい。おれは親父も冒険者だったから、そのまま続けるつもりだ。」
「ミーシャは何で冒険者になったの~?」
「あたしは世界中を旅してみたかったから。フェアリーって種族はみんな村に閉じこもって、冒険者にでもならない限り外の世界って経験できないんだよね。」
「確かに冒険者以外のフェアリーってあまり見ないな。」

冒険者になる理由は人それぞれだが、冒険者としての過ごし方も人それぞれだ。
冒険者は国からミッションやクエストを受けて報酬をもらって生活するのが基本だが、自分から受けない限り強制されることも無い。
ただ職人として物作りの腕を磨くために世界中にを旅をしている冒険者もいる。
地域の特産品を買い集めて、他の地域に行って商売している行商人みたいな冒険者もいる。
本職は別にあって、ミッションやクエストを小遣い稼ぎの手段に使うために冒険者として登録している人も多い。

無駄話や雑魚モンスターを退治している間に日が暮れてきた。
雑魚モンスター退治は冒険者の重要な役割の1つだ。冒険者がいるからこそ、街道の安全は守られる。
どんどん日が暗くなるうちに小屋を見つけた。冒険者用の仮宿舎だ。
冒険者が特に多く集まるところは国が用意した仮宿舎があり、雑魚寝で良ければ無料で利用できる。

「今日は平和な1日だったね~」
「よし。今日はここで休むとしよう。」
「賛成!」
ミーシャは賛成と言ったものの、まだ元気だ。やっぱり歩くより飛ぶ方が楽なのか?
「あしたは一気にデルフト村まで行くよ!」
「おう!」
「おっけ~」

2日目は平穏なまま一日が終わった。


「ライティング!」
エイルが光魔法でモンスターの視界を奪う。
「ヘビー!」
ミーシャが闇魔法でモンスターの視界を奪う。
「うぉぉぉぉりゃぁぁぁ!」
アルが剣で切り裂く突っ込む。
「火の精霊よ。汝の力を我に貸したまえ。ファイア」
「火の精霊よ。汝の力を我に貸したまえ。ファイア」
「火の精霊よ。汝の力を我に貸したまえ。ファイア」
「うざい!!!」
「だって~まだ呪文をちゃんと唱えないと使うことができないんだもん。」
魔法は経験を積むまでは正確に唱えないと使うことができない。
エイルがいちいち呪文の言葉を正確にすべて唱えるのを、アルは煩わしく思った。

 アル達三人は初クエストのため、道中でモンスターを倒しながら進んでた。アルデアシティーから西へ3日間の行程のデルフト村まで木箱に納められてる荷物を運んでる。
「この中身がチョー気になる。」
ミーシャはずっと中身のことが気になって仕方が無いらしい。
酒場にいるクエスト担当官から渡されたが、担当官は依頼者から中身は何か聞いてないらしい。
しっかりと包装されて釘で蓋を止めているので、むやみに空けるわけにもいかない。
「期間が指定されてるわけじゃないから、生ものではないと思うよ~」
「おれたちはこの荷物を運ぶだけだ。さっさと済ませちゃおう。」
アルは中身はそんなに気にしてないらしい。

しばらく歩いてると、突然地響きがした。
「なんだ?」
アルが辺りを見回す。
「ちょっと上から見てくる。」
ミーシャはフェアリーで飛ぶことができる。
「猪の馬鹿でかいやつがこっちに来るよ!」
「逃げようよ~」
エイルが弱気になっていると。
「だめ、あたし達ならやれるって。見た目ほど強くないし、あの牙が高く売れるよ♪」
「よっしゃ!いっちょやってみるか!」
「え~」
三人は地響きする方に向かった。
「こりゃでかいな。」

 猪のモンスターはアルとエイルの故郷の村周辺にもよく出没してたが、こんなに大きいのは初めてだ。同じモンスターの中でも大地の魔力の作用によってはさらに大型化、凶暴化することがある。これは突然変異的なものがあり、
数は決して多くない。レアモンスターと呼ばれている。数が多くないので、角や牙など加工品に使えるものは高く取引されている。
「みんないくよー!」
「OK!」
「おっけ~」

「ライティング!」
エイルが光魔法でモンスターの視界を奪う。
「ヘビー!」
ミーシャが闇魔法でモンスターの視界を奪う。
「うぉぉぉぉりゃぁぁぁ!」
アルが剣で切り裂く突っ込む。
戦闘の始まりはこれがお決まりのパターンとなってきた。ここらにいる大抵のモンスターはこれで動きが鈍くなり、あとは適度に攻撃していれば倒せる。
しかし、この猪のレアモンスターはさらに突進してくる。さすがに強い。
「闇よ、我願う。目の前の敵に闇の重力を与えんことを。ヘビィ」
ミーシャが魔法を唱えると、レアモンスターは体が重く感じ、動きが遅くなった。
「エイル、回復は任せた!」

 アルは正面から飛び込んで鼻に剣を突き刺した。これが効いたのかレアモンスターは顔を振って暴れる。アルは振り飛ばされるが、すかさずエイルの回復魔法が飛んで来る。
「火の精霊よ。汝の力を矢に変え、我の前の障害に浴びせたまえ。ファイアアロー!」
エイルがファイアアローを唱える。威力はあるがファイアと違い、直線的に魔法の矢が飛んでいくので必ず命中するわけでもない。しかし、今回は相手が大きいので当てるのは容易だ。
「氷の精霊よ。汝の力を矢に変え、我の前の障害に浴びせたまえ。アイスアロー!」
ミーシャは氷の魔法も得意だ。
魔法が命中すると、レアモンスターは崩れ落ち、苦しんでいた。そこへアルが剣を突き刺し、とどめを刺した。

「やった~?」
「やったな」
「みんなよくがんばったね!アル、角はしっかり取っといて。」
ミーシャはしっかりしてる。

 戦いが終わると、あたりはすっかり暗くなっていた。
「今日はここらで野宿をするとするか。」
この辺りには民家も小屋もない。冒険者は人のいない未開の地も冒険することが多いため、野宿も慣れておく必要がある。

ここで3人の初冒険の初日が終わる。

 


「すげー人が多いなー」

二人はアルデア王国の入り口にある首都、アルデアシティーを観光している。
二人共都に来るのは初めてではない。今までは村の農産物や工芸品をお金に換えるために、都の入口にある交易所までしか行ったことがなかった。

「ちょっとあそこの魔法屋に行ってくるね〜」
エイルが魔法屋を見つけて走っていった。アルは魔法には興味ないので、近くにある防具屋へ向かった。

「いらっしゃいませ!」
「ファイアとファイアアローください〜」
ファイアは対象を見て唱えるだけでほぼ命中する魔法だ。有効範囲内なら、いくら動いても必ず命中してしまう。修行を積んで魔力を高めると、複数の対象を狙うこともできる。
ファイアアローは火の矢を打つ魔法だ。ファイアより威力が高いが、直線に飛んでいくため、命中させるには練習が必要だ。こちらは修行を積んで魔力を高めると、複数の矢を一度に放つことができる。
「はいどうぞ」
エイルは受け取るなり早速巻物を読んだ。
『火の精霊よ。汝の力を我に貸したまえ。ファイア』
『火の精霊よ。汝の力を矢に変え、我の前の障害に浴びせたまえ。ファイアアロー』
読み終わると同時に巻物は消え去った。

 魔法は魔力の篭った巻物を読むことで使えるようになる。しかし、その魔法を使えるだけの魔力の持ち主で無いと使えるようにはならない。習得に成功すると巻物は消える。上位の魔法になるほど言葉は複雑になるが、決して忘れない。
 巻物は専門の修行を積まなくては書くことができない。エイルの両親は神官として修行を積んでいるので、いくつかの魔法の巻物を書くことはできる。

 魔法を使うには巻物に書かれた言葉を唱える必要があるが、魔法のコツが掴めると、魔法名だけでも使うことができる。上位になればなるほど魔法名だけでは難しくなるので、大技の魔法を使うにはまほうのが完成するまでの時間がかかるようになる。
 魔法は光魔法、闇魔法、精霊魔法、召還魔法に分類される。
 光魔法と闇魔法は相容れることはできない。光魔法を使うと闇の魔力が落ちてしまい、闇魔法を使うと光の魔力が落ちてしまうので、通常はどちらかのみ使う。エイルの使えるライティングとヒーリングは光魔法だ。

 精霊魔法はさらに火、水、氷、雷、土と分類される。台地に眠るそれぞれの精霊の力を借りる魔法だ。複数の属性の魔法を習得することができるが、魔力を高めるのに時間がかかるため、魔道士は通常メインとして使う精霊魔法は1つに絞ることが多い。また、術者の光と闇の魔力にも影響し、光の魔力が高いものは援護系の効果が高く、闇の魔力が高いものは攻撃系の効果が高い。

 召還魔法は異界より精霊やモンスター、さらには悪魔等を見方として召還することができる。魔力を高めると召還できる時間を長くすることができる。召還魔法は巻物では覚えられず、異界のものの魂が篭ったアイテムを入手したり、何らかの理由でこちらの世界に来た異界のものを倒したりと、入手方法は様々だ。

二人共買い物が終わると酒場で落ち合い、夕食を食べていた。
アルの方は防具屋で皮でできた鎧を購入して早速装備していた。

「エイル、まだ金あるか?」
「食事の代金を払ったら無くなっちゃうよ〜」
「おれもだ。早速クエストでも受けるとするか。」
「いいね!受けよう受けよう。」
二人は食事を済ませると、依頼票が貼ってある掲示板へ向かった。
「おれたちが受けられるのは安いやつしかないな。」
アルが不機嫌そうな声で言った。
「しかたないよ。初めは修行あるのみ!色んなクエストをこなしてどんどんランクを上げようよ。」
エイルはこんな時は意外としっかりしてる。
「そうだな。これなんかどうだ?」
アルが1つの依頼に指を差した。西の方にあるデルフト村へ荷物の配達だ。歩いて3日間程の距離がある。
「3日も塩漬けの肉で過ごすのか〜」
「俺たちのいたファザード村とは全く交流の無かった村だ。色んな場所にも行くのも冒険の目的だろ。」
「そりゃそうだけど、初めくらいは1日で終わるやつにしようよ〜」
「つべこべ言わずにいくぞ!」
「え〜」

アルは強引に決めてしまった。依頼票とカードをカウンターに差し出すと、担当の魔道士が魔法でカードにクエストの情報を記録した。
「あーそれあたしも参加させてー」
横から小さな人型の何かがふわふわと飛んできた。フェアリーだ。
「あたしクエスト受けるの初めてなんだけど、1人は不安で同じランクJのクエストを受ける人を待ってたの。」
「どうする?エイル」
「ん〜かわいい〜」
「どうやらOKらしい。俺たちも始めてのクエストだけど、よろしく! 俺はアルバート。剣士だ。長いからアルって呼んでくれ。隣にいるのは光魔道士のエイル。」
「あたしミーシャ。闇魔道士よ。よろしくー」
「よろしく!」
「よろ〜」
初対面の人同士で即席の仲間(パーティ)を作るのも冒険者らしい。同じ目的の者同士、全く知らない間柄でも協力し合うのが冒険者のスタイルだ。
「いざ出陣!」

こうして初めてのクエストに挑戦するのであった。



 アルとエイルは都へ向かっていた。
都へは村から半日の位置。今日は天気もいいし、夕方には付くだろう。

 しばらく歩いていると、1人の若い剣士がモンスター狩りをしていた。
その剣士を見てアルが一言。
「始めはあんな仕事しかないのかな。」
「まずは修行。強くなるまで我慢しようよ~」
なんか緊張感の無いエイルの口調だが、アルはたいして気にしていないようだ。物心が付いた時から聞いているので、ただ慣れただけか...

 職業としての冒険者の仕事は、ミッション(任務)とクエスト(依頼)がある。
ミッションは主に国から依頼である。
クエストは依頼主は様々である。一般市民もいれば国からもある。クエストの内容は酒場等にあるクエストボードに貼り出されている。
そこから選択して受けることとなる。ミッションもクエストも目的を達成させることができれば、成功報酬を受け取ることができる。
この成功報酬が主な冒険者の収入源だ。

 この剣士もミッションかクエストだろう。又は獲物の皮や骨などを採取して何かを作るための素材を集めてるのかもしれない。ただの腕を上げるための修行かもしれない。
冒険者の中には町にある貸し施設で物を作って商売している者もいる。またそう言った物へ素材を売ってお金にしている者もいる。

目的は何であれ、こういった冒険者がいるおかげで、街道の安全が保たれている。
この大陸には大地に魔法の力があり、その作用でまれに野生動物が大型化し凶暴化する。それがモンスターだ。
モンスター化した動物は見境無く攻撃してくるため、発見したら駆除する必要がある。
野生動物だけではなく、人間を含む人類までモンスター化してしまう場所もあると聞く。

「がんばってください~ヒーリング!」
すれ違いざまにエイルが剣士へ体力回復の魔法を放った。
「ありがとよ!」

ちょうど日が暮れる頃に都に着いた。
「エイル、早速王宮に行くぞ!」
「え~。まずは飯にしようよ。腹減ったよ~」
「もたもたしてると王宮がしまっちゃう。面倒なことは先に終わらせてしまおう!」
「ちょっと待ってよ~」
早歩きでどんどん進むアルをエイルが追いかけていた。

 王宮に着き受付で用件を言うと、冒険者管理局の部屋に案内された。
「この紙に必要事項を書いてください。」
必要事項と言っても、名前と出身地しか書く欄が無かった。
「これだけですか?」
あるが不思議そうに質問すると
「それだけで十分です。冒険者は特に身分等は問いません。これからの経験や実績がすべてです。」
「なるほど~」
アルはいまいちわからなかったが、エイルは理解したようだ。口調からは想像できないが、魔法を扱う者だけあって頭はいい。

紙を提出するとその上にカードが置かれた。
「このカードの上に手を置いてください。」
アルが手を置くと事務員が魔法を唱え始める。
魔法を唱え終わるとカードが光った。
「このカードが冒険者の身分証明証になります。」
この身分証明書は一般に『カード』と呼ばれている。
エイルも同様の手続きを済ませていた。
「これでアルデア王国所属の冒険者として認められました。軽く冒険者の説明をします。」
アルもエイルも真剣に説明を聞き入れていた。どうも冒険者になった実感がわいてきたらしい。
「カードは常に携帯してください。携帯していない時は冒険者として認められません。カードにはミッションやクエストの達成状況等の情報が記憶されます。」
世の中、魔法のおかげで便利になったものだ。

「冒険者はランク付けされます。S,A~Gの10段階あり、ランク無しから始まります。初めてのクエストを達成するとクラスGに認定されます。クラスAまでは誰でも実績次第で昇級する事はできますが、各国に認められた冒険者に限りクラスSに認定されます。クエストはランクが指定されている場合があり、該当するランクでないものは受けることができません。昇級の審査は国の審査機関で行われますので、定期的に所属国の冒険者管理局に確認しに来てください。」
ランク付けされると一見上下関係が厳しそうであるが、冒険者の間ではそんなものは無い。ランクは経験の目安であり、知らない人同士で仲間(パーティ)を組むのに便利である。
「冒険者には無料で冒険者宿泊施設の部屋が与えられます。但し1部屋しか与えられませんので、本拠地を他の場所に移す時は引越しの手続きをしてください。部屋の物は転送魔法で送ります。

これで憧れの都会暮らし♪二人は嬉しそうである。
「以上です。他にも知りたいことがあれば酒場で情報を集めてください。他の冒険者がたくさんいるので、交流を深めてください。」

二人は王宮を出て、早速冒険者宿泊施設に向かった。
「今日は疲れたしもう寝るとするか。」
「僕もねむい~」
「持ってきた肉の塩漬けを半分渡しておくよ。今日はこれで我慢して。明日観光しながら美味いものでも食おう!」
「おっけ~じゃあ、あした朝に宿泊施設の入り口で待ってるよ。」
「おやすみ!」
「おやすみ~」
お互い狭いながらも新しい生活の本拠地となる部屋に入って行った。


「アル、あいつにしようか?」
「なかなかの大物♪じゃあ頼んだ。エイル」
「おっけ~ライティング!」
目の前にいる大きな猪のモンスターに、エイルと呼ばれる男が強烈な光の呪文ライティングを放った。
猪のモンスターは視界を奪われてその場で立往生していた。そこへアルと呼ばれる男が剣で切りかかり、巨体が崩れ落ちる。

 アルと呼ばれる男は剣士のアルバート=ユーウェイン。隣にいるのは光魔道士のエイル=アンダーソン。
エイル実家は村の村の教会で、小さい頃から光の魔法の修行をしてきた。
アルの両親は、数年前の伝染病の大流行でもうこの世にはいない。父親も冒険者だった。
父親が使ってた両手持ちの大きな剣をそのまま受け継いだ。鉄でできたありふれた剣だが、大切な剣だ。

 ここはエターニア大陸南部にあるアルデア王国の小さな村。
2人は明日から冒険者として旅に出るために、食料の調達をしていた。
職業としての冒険者とは、国と契約し、世界各地を旅して国に世界の実情を報告する職業だ。
税金も免除される代わりに、国の一大事にはすぐに駆けつけて、兵士としても参加しなければならない。また、クエストと呼ばれる依頼を受ける資格もある。
いわば視察役兼予備役兼雑用係のような存在だ。

「こりゃ美味そうだ!これだけあれば十分だろう。おれが塩漬けにしとくから、明日の朝に村の門の前に集合な。」
猪はあるが持ち帰り、長持ちさせるために塩漬けにした。
明日はいよいよ冒険者の契約をするために王宮のある都にいく。今日は早く寝るとしよう。

-次の日の朝-

 アルが門に付いた時にはすでにエイルが待っていた。エイルの両親と妹もいる。
「やっときたね~」
「エイル、何だよ。そんなに眠そうな顔をして。」
「いや~。いよいよ冒険者になるんだと思うと、全然寝られなくて~」
そこでエイルの態度をみて不安に思ったのか、エイルの両親が口を揃えてアルに真剣な顔でお願いをした。
「うちのエイルをよろしくお願いします!」
「...えぇ、任せてください...」
エイルの両親があまりにも真剣なので、アルは恐怖を感じた。いやただの親バカか...
妹は普通に
「兄ちゃんをよろぴく♪」
まあ、今生の別れでもなく、いつでも帰ることができるんだし、これが普通か。
『よろぴく』って何だ?

「それじゃあ、行ってくるよ~」
最後にエイルが家族に別れの挨拶をして、2人は旅立った。

「あの子本当に大丈夫かしら...」
エイルの両親はどうも心配性らしい。



伝説

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・神の時代
          
 世界には混沌の渦のしかなかった。
 混沌の渦の中から神が生まれた。
 神は寝床を作るために海を創った。
 海では柔らかすぎるので台地を創った。
          
・始の時代
          
 神は別の世界にも寝床を作ろうと考えた。
 神は自分の代わりに大地を支配する者を決めるために、多くの生物を作り争わせた。
 なかなか大地を全部支配できる生物がいなかった為に、自分に似せた生物を創った。
 自分に似せた生物は見事に台地を支配し、神は別の世界に行ってしまった。
          
・破の時代
          
 次第に神に似せた生物同士が争うようになった。
 神に似せた生物は幾つもの勢力に分かれてしまい、再び全部の大地を支配するものがいなくなった。
 神に似せた生物は自分たちを破滅に追い込む武器を作ってしまった。
 やがて神に似せた生物はその武器で破滅してしまった。
          
・永の時代
          
 再び神が帰ってきた。
 再び神は大地を支配する者を決めるために、神に似せた生物を幾つかの性質の異なる種族に分けた。
 神に似せた種族たちはお互いに手を取り合ってしまった。
 神はその状況を良しとせず、決して相容れることの無い種族を幾つか創った。
          
 決して相容れることの無いはずの種族同士でも手を組むものも現れ、永遠に支配者の決まらない世界になってしまった。
          

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